Palmax PD-1000 の仕様

木本が買った Palmax PD-1000の仕様とそれについての考察.

ひとことで言うと, 「東芝 Libretto 70 にタッチパネルがついて 色をパープルにしたようなもの.」

性能的にはもう何世代も前の代物ですね.

注意:下記にいくつか「別売オプション」について ふれられていますが,それらは日本では入手が むずかしいかもしれません.


名前

Palmax PD-1000

「Palmax」はメーカー名,「PD-1000」が型番です. このページでは「Palmax PD-1000」のことを 単に「Palmax」と表記しています.

Palmax 社は PD-1000 のほかにもいくつか手のひらサイズの PDA を作って売っています.

木本は「ぱーまっくす」と発音しています. 原音ではどういうかしりませんが,少なくとも「ぱるまっくす」では ないと思う.(そういえば「ぱらまっくす」と呼んだ人もいたな.)

後継機として「PD-1000 Plus」「PD-1100」があります.


価格

気になるお値段の方ですが,ずばり,いきましょう.

日本円で 128,000 円(税別)

これはわたくしがある日ある店で買ったときの値段であって, あなたが買うとしたら違う値段になっているでしょう.

性能を考えると,安いとはいえないかも. 実際,木本が買った時期は Libretto SS 1000 が 15 万円以下で買える店もあったそうです.


概観

PD-1000 Purple

ぱっとみ,Libretto か?と見まごうサイズですが,色が違います.

大きさ: 214mm x 124mm x 37mm

だいたい,東芝 Libretto 70 に近い大きさ. Palmax のほうが Libretto 70 よりちょっとだけ大きい.

ポケットには,入りません.

重さ: 909 グラム

木本にとっては

「その日必要でなくとも持ち運べる大きさ」

だと思います.

でも,電車で立って片手で持って操作するには 重すぎ.5 分も使っていると疲れる.

実際にはこれに加えて AC アダプタと PHS と PHS 用アダプタカードを 持ち歩きます.

本当は希望としてはこれらに加えて デジタルカメラと ミニディスクプレーヤ + ヘッドホン を持ち歩きたいところですが, そこまでやるとちと重い.

のちに出た 166MHz モデル (PD-1000 Plus) では 1045 グラムに増えているらしい. たぶん,ボディがプラスチックからアルミニウムになったんじゃ ないかと思われます.

色: パープル

木本が買ったのはパープルですが,他にブラックのモデルもあります.

ブラックは Think Pad の黒.

パープルは VAIO の紫.

1998 年 9 月に幕張で催された PC EXPO では台湾人の人がしつこく木本にきいてきた:

「あなたはブラックとパープルとどっちが好みですか?(片言の英語)」

木本は別にどっちでもよかったけど 英語で「どっちでもいい」と答えることができずに往生した.

さらにその台湾の人がいうには,

「私の考えでは,男の人はブラック,女の人はパープルだと思います.」

そ……,そうかなあ…….

「あなたはどちらが好みですか?」

しつこいぞっ.

どうやら本気で色の好みのリサーチをしていたらしい.

ちなみに木本が買ったときは特に色は指定しませんでした. その店にはパープルしかおいていなかったらしい.


基本性能

くらべたわけじゃありませんが,たぶん Libretto 70 と同程度.

プロセッサ: Cyrix Media GX 120MHz

工場出荷時は 120 MHz だが, BIOS の設定を変えることで 133 MHz で 動かすことができる. その場合たぶんバッテリが早く消耗する. (BIOS のバージョンによってはこの設定を変えることができない.)

木本が買ってから数か月後,166 MHz のモデルが発売された.

インテルではなくて, サイリックス の CPU です. サイリックスにいわせると,MediaGX は インテルのペンティアム無印と同程度の性能らしい. 木本は最初,MMX 互換かと勘違いしたけれど, PD-1000 に搭載されている MediaGXi は MMX 互換ではないのだそうだ.後継の PD-1100 に 搭載されている MediaGXm が MMX 互換とのこと.

Media GX は省電力と安いことが特長で, カシオペア FIVA にも採用されています. また,プロセッサ内部にグラフィクスやオーディオの 機能を内蔵しているために回路がシンプルになります. もちろん,専用のデバイスドライバが必要です.

メモリ: 32MB → 64MB 交換済み

木本が買ったモデルは 32 MB でしたが 64 MB に増設(モジュール交換)しました.

他に 速水さん,藤田さんが 64 MB への増設を 成功させてらっしゃいます.

メモリモジュールは ThinkPad 235 などと同じものが使えるようです. ただし,64 メガバイトまでが上限です. 128 メガのモジュールは木本と 速水さん が挑戦していますが,いずれも部分的にしか認識されず, 128 メガとしては使えませんでした.

このメモリのうち1メガか 2メガは VRAM に使われるので, 実際に Windows が使うメモリはそのぶん少なくなります. IE 4.0 などを動かすとすでに 30 MB ではきついです.

内蔵ハードディスク: 1.6 GB → 6 ギガバイト交換済み.

買った時は 1.6 ギガバイトだったが, 木本の PD-1000 は 6 ギガバイトのディスクに交換済み.

他に 速水さん,藤田さんが 4 ギガバイトへののせ替えを 成功させてらっしゃいます.

ハードディスクを交換するときは 裏ぶたのネジ 2 本だけはずせばいいようにできている.

俗に 2.5 インチと呼ばれる大きさで,高さ 8.45mm, IDE (ATA) インターフェース. 速水さんの報告によれば, PD-1000 では高さ 9.5mm のものは使用できない. 後継機の PD-1100 はカタログの数値では 9.5mm と あったけど,本当かな?


ユーザインタフェース

ポインティングデバイス: タッチパネル(ペン)

Pen

液晶画面と一体化したタッチパネルがマウスのかわり.

これが PD-1000 発表当時 最大のセールスポイント. 木本もこれが欲しくて買った.

当時,ペンとキーボードを両方搭載した ノートパソコンはほとんどなく, あっても「法人向け」で一般には手に入らなかった.

ペンで画面をつつけば左クリック.

右クリックは,本体背面にある右クリックボタンでおこなう. 残念ながら,これを使っても「右ドラッグ」ができない. マウスを使わずに右ドラッグをするには, Windows の「マウスキー」機能を使うしかない.

精度はあまりよくない. ドラッグするときにぶるぶるふるえてしまう.

ペンは付属のものでなくともかまわない. 指でもいいし,焼き鳥の串でも使える.

付属のポートモジュールには PS/2 ポートが ついているので,ここに他のポインティングデバイスを つなぐことができる.

ディスプレイ: 6.1 インチ TFT 液晶 640 x 480, 16bit Color

LCD

TFT 液晶としてはごく平凡(購入当時)の見栄え. 秋葉原のある電気屋のおやっさんに見せたら 「リブレットよりずっと見やすい」とのこと.

640 x 480 といえば Windows 最低レベルだ. たまに 800 x 600 以上を前提に作られた ウェブページなどにでくわすが,そういうページを 作ったやつが悪い!

色数は 16bit までしか設定できない.

ポートモジュール経由で外部モニタに接続するときは, もっと大きいピクセルサイズでも表示できるらしい. (その場合,タッチパネルは事実上使えない.座標があわないのだ.)

キーボード:US 配列 77キー

DOS/V の台頭以来日本のみなさまにおなじみの OADG 配列ではなく, US 配列です.

木本は昔から US 配列を使ってきたので ぜんぜんオッケーです.

キートップはけっこう大きく, タッチタイプはじゅうぶんできます. (キーとキーの間隔は 16.8 mm.) ThinkPad 235 より大きい.

フィードバックは,「かちゃかちゃ」ではなく,「ぺこぺこ」した印象. ちゃち.決して打ちやすいとはいえない.

通常と違う場所に配置されているキーが 5 つ,「[」「]」「~」「=」「'」が スペースキーの段に入っています.

内蔵スピーカー(モノラル)

本体を見て,ステレオスピーカーと 誤解する人がいるけれど,本当はモノラル. 左側のスピーカーのように見えるものはマイク.

音質は……悪い.

内蔵マイク

木本はまだ試していない.

PD-1000 と Windows 98 では,内蔵マイクが内蔵スピーカーの音を拾って ハウリングをおこしてしまう.「ぴーひょろろ」 後継の PD-1100 では直ったらしい.


本体の I/O

PCMCIA カードスロット 1 基

PCMCIA

本体左側に,ひとつだけ. CardBus 対応だそうだ.

PD-1000 では,PC カードは「表を下に向けて」さす. カードによってはこのせいでうまく使えないものもあるかも? NTT ドコモの人気機種 パルディオ 611S なんかは見るからにだめそうだ. 後継の PD-1100 では普通に表を上に向けてさせばいいらしい.

スロットのふたはいわゆるダミーカード式.

USB ポート 1 基

東芝リブレットに対するアドバンテージの一つが 本体についた USB ポートであった. 最近のリブレット (ff 以降) にはついてますね.

Windows 98 でマックの USB マウスを 試した時は,マウス自体は正しく使えた. でも,USB を有効にすると,PD-1000 は スリープしてもすぐに勝手に復帰してしまう というトラブルがあるのでございますよ.

PD-1000 の USB は「ない」ものと思った方がよいの かもしれない. Windows 98 が安定して動いていないので. 後継の PD-1100 ならまっとうに使えるのかな?わからないけど.

赤外線ポート

富士通のビブロMCと通信させたときはばっちりうまくいった.

ビブロMC の赤外線は最大 4Mbps なのにたいして, PD-1000 は最大 115kbps.遅い. 後継の PD-1100 は 4Mbps 出るそうだ.

イヤホン端子

ステレオだが,PD-1000 では右と左が逆.がっくり.

音質は,悪い.ノイズのりまくり.

マイク端子(モノラル)

木本はまだ試していない.

LINE IN 端子

木本はまだ試していない.


ポートモジュールの I/O

Port Module

PD-1000 を買うと,「ポートモジュール」というのが 付属します.これをつけるといろいろな周辺機器に つなぐことができるようになります.

PS/2 マウス

PS/2 キーボード

ごくありがちな PS/2 マウス・キーボードコネクタ. マウスの方は問題なく使えた. キーボードはまだ試していない.

外部ディスプレイポート

いわゆる「VGA コネクタ」と呼ばれているやつ. 木本はまだ試していない.

パラレルポート

プリンタポートだが,これが 別売フロッピーディスクドライブ用の ポートと兼用になっている.

Windows 95/98 で「ケーブル接続」を使うときは, 特殊な配線のケーブルを使う必要があるそうだ. パラレルポートがフロッピーのポートと兼用になっているために 普通のケーブルではだめなのだそうだ.

木本はまだ試していない.

シリアルポート

Windows PC としてはごく一般的な 9 ピンの RS-232C ポート.

赤外線を有効にしていると使えない.

WorkPad とのシンクロナイズに問題なく使うことができた.

専用 CD-ROM ドライブ接続ポート

これが 別売 CD-ROM ドライブを接続するための専用ポート.

インタフェースは IDE (ATA) らしいのだが,コネクタが独自の形状をしている.

このポートにサードパーティの CD-ROM ドライブをつなぐのは至難だろう. そんなことをするくらいなら素直に PC カード経由が確実だ. ただし,CD-ROM からのブートは,サードパーティーのドライブでは たぶんダメだと思う.

木本はまだ試していない.CD-ROM ドライブを持っていないので.


電源

バッテリー持ち時間:1.5 から 2 時間(メーカー公称値)

別売の大容量バッテリーではもっともつそうだ.

実際にはメーカ公称値ほどもたない.1 時間がいいところだ.

スリープ中もかなり電池を消耗する. フル充電からすぐにスリープして,5 時間ももたない.

AC アダプタ:AC 100 - 240V, DC 18V

ちゃんと日本の家庭用電源で使えました. 台湾のコンセントって,日本と同じ形なんですね. 同じ Palmax でも,もし香港から輸入すると,コンセントの形が違うでしょう.

本体の電源が入っているときも電池の充電ができる.


付属ソフトウェア

OS:Windows 95 英語版

Windows 98 搭載モデルや,中国語版 Windows 搭載モデルも あるらしい.

しかし,リカバリー CD-ROM も「Certificate of Authenticity」 (マイクロソフトの出所証明書)もついていない. どうやら Windows のライセンスはついていないらしい.

木本は日本語版の Windows 98 に入れ替えたが, PD-1000 では,はっきり言って調子悪い.トラブル多い. 同じ日本語版でも 95 ならトラブルはなかった.

BeOS や Linux など,他の OSのインストールは やめたほうがよさそうだ.なぜかというと, ペンのデバイスドライバが Windows 95/98 専用なのだ (WindowsNT 用もあるらしい). それから,MediaGX のグラフィクス/サウンドドライバも Windows 95/98 以外ではなかなか手に入らないと思う.

PS/2 マウスを使うには ポートモジュールを経由しないといけない.

手書き認識ソフトウェア

木本はぜんぜん使わないのでアンインストールしてしまった.

Norton AntiVirus

Norton Virtual Drive Personal Edition

この二つもマニュアルはおろか紙ペラいちまいついてこない.

木本はこの二つもハードディスクから抹消してしまいました.


(更新: 19990825)


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